【紙コミックス①巻11/8発売②巻12/6発売✨】鬼畜御曹司の甘く淫らな執愛
いくら妊娠してて心身共に不安定だからって、あんな些細なことで怒ってケンカ腰に突っかかって、挙げ句泣くなんてメチャクチャにもほどがある。
隼は入籍してからも今までと変わらないどころか、今まで以上に優しくて、どんなに仕事が忙しくても疲れた素振りなんて微塵も見せない。
絶対疲れてると思うのに、一緒に居るときは私の身体のことを一番に気にかけてくれて、料理だって家事だって手伝ってくれている。
だからせめて隼が仕事で居ない時くらいはって思って、下手なりに料理や家事も頑張ってきたのに……。
ただでさえ可愛げがないのに、こんな風に情緒不安定になってたら、そのうち愛想尽かされるかも。
ーーそんなのイヤだ。隼に嫌われたくない。
さっさと泣き止んで謝ろうと、涙を手の甲で拭い去っていると。
「侑李」
心配そうな声音を放った隼の声が耳に届いた時には、隼に泣き顔を見られたくなくてそっぽを向いてた私の身体は、隼の逞しい腕により背後から優しく包み込むようにして抱きしめられていて。
ーーヤダ。こんな酷い顔見られたくない。
「ヤダ。放してッ!」
「侑李、暴れたら危ないから落ち着いて。ね?」
隼の腕から逃れたくて抵抗を試みるも、鍛えられた隼の力には当然敵う訳もなく。
そこにきて、今度は、隼に余計な心配をかけてしまったことへの申し訳なさから、詫びながら、再び泣き出してしまっていた。
「……隼、ごめんね? こんな可愛げのない奥さんで」
ーー本当にもうメチャクチャだ。
自分でもそう思うのに、隼は呆れることもなく、相変わらず優しい言葉をかけてくれてて。
「侑李は全然分かってないなぁ。侑李が怒ってようが泣いてようが、僕にとっては可愛い奧さんだよ。そんな侑李と夫婦になることができて、僕は世界一の幸せ者だって言い切れる。同じように侑李のことも世界一幸せにしたいって思ってる。だから、僕のために我慢しないで欲しいんだ」
私のことを宥めるためだとしても、とっても嬉しかった。
けれど、最後の言葉にどうしても引っかかってしまうのだった。
「ちょっと待って。私、我慢なんてしてない」
「侑李にその自覚はなくても、僕は二十六歳になったばかりの侑李に我慢ばかりさせてる。無計画に妊娠させて、苦手な料理や家事までさせて、やりたいこと全部我慢させてばかりいる。そのせいでストレス溜めさせて情緒不安定にさせてる。謝るのは僕の方だよ。ごめん」
聞き捨てならなくて、背後の隼に迫った結果、隼から意外な言葉を聞かされることになった。
私は、婚約する前から隼との赤ちゃんをほしいって思ってたから、『無計画に』なんてそんなこと考えもしなかったし。
いつも優しく気遣ってくれる隼のために少しでもサポートできたらと、下手なりに料理や家事を頑張ってきたけど。
隼は隼で、そんな風に思ってたんだ。
ーーそんな風に思ったら、お腹の赤ちゃんが可哀想だ。
考えてるうちにだんだん腹が立ってきて。
「隼のバカッ! そんなこと言ったら折角授かったこの子が可哀想でしょッ! 確かに、急に仕事辞めたから、社会に取り残されてるような気がすることもあったりするけど、こうして隼の奧さんとして料理や家事を頑張るのも楽しいし、とっても幸せなのッ! だからそんな風に『我慢させてる』なんて二度と言わないでッ!」
気づいたときには、いつもの調子で勢い任せに、隼めがけて思いのままに言葉をぶちまけていた。すると。