【紙コミックス①巻11/8発売②巻12/6発売✨】鬼畜御曹司の甘く淫らな執愛
*番外編*煌めく未来のために~side隼~
『隼。心配してくれるのは嬉しいけど、私、仕事をおろそかにする人って大嫌い。このまま行かないって言うなら、結婚なんてしないから』
侑李にそう言われて、致し方なく折れたものの、侑李のことが気にかかってしょうがなかった。
けれど侑李の気持ちだって理解しているつもりだ。
侑李は、基本気が強くて、怒ると怖いし、口調だってキツイときもあるけど、心根がとっても優しくて、頼まれたら断れない、お人好しなところのある、嘘をつけない真っ直ぐな女性だ。
本人は隠してるつもりのようだけど、結構臆病だし、気の弱いところだってある。
そういうところが放っておけないし、照れたり、恥ずかしがったり、不意に甘えてくれるのがメチャクチャ可愛くて堪らない。
侑李には、いつも大袈裟だって言われるけど、どんなことがあっても、命がけで守りたいって思うし。
侑李に頼ってもらえるように頼もしくありたいとも思う。
こうして、愛おしくてどうしようもない侑李のことを考えていたら、脱線しそうになったけれど。
とにかく、侑李は、自分のことよりも僕の立場を一番に考えてくれたに違いない。
だからこそ、僕は、そんな侑李の気持ちを尊重しようと思った。
でもそれだけじゃない。
十五年前、侑李に出遭うまでの僕は、次期社長になる兄さんに対して、いつしかコンプレックスのようなものを抱いていた。
……どうせ、僕は誰からも期待されないんだ。
そんな風にしか思えなくなっていた僕は、何に対しても無気力だった。
そんな時に侑李と出遭えたことで、僕には夢ができた。
どんな形であろうと、『YAMATO』の後継者のひとりとして、『YAMATO』を盛り立てていけるのなら、それも悪くないかもしれない。
こんな小さな女の子にも愛されるチョコレートを守り続けていきたいーー。
無気力で何も見いだせずにいた僕に夢を与えてくれた侑李。
その侑李が今こうして僕の傍に居てくれて、こんなにも僕のことを想ってくれている。
侑李のことが気にかかってどうしようもないけど、侑李の想いにも応えたい。
ーー否、応えなきゃいけない。
僕が今しなきゃいけないことは、『YAMATO』の副社長としての務めを果たすことだ。