【紙コミックス①巻11/8発売②巻12/6発売✨】鬼畜御曹司の甘く淫らな執愛


 思えば、侑李と付き合うようになってから今まで、そういうことが何度もあったように思う。

 侑李と出逢う前は、誰も好きになれずにいて、そのことで僕は自分のことをずっと欠陥品だとしか思えずにいた。

 でも、侑李を好きになって、侑李にも好きになってもらえて。

 それだけでも、僕にとっては本当に凄いことだったのだ。

 でも、それだけじゃない。

 それまでの僕が抱いてしまっていた曲がりに曲がってしまった様々なモノを、ことあるごとに、侑李に真っ直ぐに正してもらってきた。

 そうやって、僕に足りなかったモノをたくさん補ってもらって。

 こうして、僕は変わることができた。

 結婚なんてできるなんて夢にも思ってなかったのに、結婚もして、子供まで授かって。

 こんな日が来るなんて、本当に夢のようだ。

 侑李と出逢うまでの僕は、ひとりでもどうってことない。そう思い込もうとしていたことだってあった。

 でも、侑李と再会できて、好きになって、付き合うようになったことで、人はひとりでは生きてはいけないんだってことを思い知った。

 もしも今、僕が侑李を失ってしまったら、おそらく……いいや絶対に、例え一日だって、生きていけないって、断言できる。

 そういう風に思えるくらい、侑李のことを好きになることができて、僕は幸せだ。

 侑李のお陰で、こうして変わることのできた僕だけど、欠点だってまだまだあるし、まだまだ足りないところだってたくさんある。

 どちらかに足りないそういうモノを補い合っていくのが夫婦なんだとしたら、これからだって、侑李にはまだまだたくさん補ってもらうんだろう。

 それと同じように、僕は侑李のために、僅かかもしれないけれど、何かを補っていけるような、そんな存在でありたい。

 これから侑李と歩んでゆく、この長い人生のなかで、この命の続く限り、僕は侑李にとっての、そういう存在であり続けたいーー。

 侑李とじゃれ合っているうちにいつしか甘い甘い口づけを交わしながら、僕はそんなことを思っていた。

 おっといけない。

 愛おしくてどうしようもない侑李に我が儘を聞き入れてもらえたことに、浮かれててすっかり忘れていたけど。

 僕の大事な侑李のことを苦しめた原因の一つである円城寺さやかは、きっと今夜は寝ることもできないくらい大慌てで奔走することになるだろう。

 何故なら、これまでパリコレのファッションモデルとしての地位を築き上げるために、各界の名だたる重鎮たちへの性接待が幾度となくあったことと。

 その他にも、この際だからと全部引っくるめた諸々の事が詳細に記された文書が、マスコミ各社にFAXで一斉送信される手筈になっているからだ。

 これから愛おしくて愛おしくてどうしようもない侑李との甘い甘い一時を過ごすため、ソファでは身重の侑李にもしものことがあってはならないと、突っ走ってしまいそうになる己を必死で律し。

 寝室に向かうために侑李のことを姫抱きにして、ふと時計に目を向けた。

 時刻は、午後22時を少し過ぎたところだ。

 円城寺さやかの一件もカタがついた頃だとホッとした心持ちで、僕は寝室へと歩みを進めた。


・*:.。 。.:*・゚✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚


 もう僕と侑李のことを阻むモノなど何もない。

 ーーたとえこれから何があっても、侑李のことをこの僕が守ってみせる。

 これから侑李と共に歩んでいく未来が、互いの左手薬指で煌めくこのダイヤモンドのように、いつまでもいつまでも輝いていけるように。

 僕はこの命が尽きるその瞬間まで、この幸せを守り抜いてみせる。絶対にーー。


・*:.。 。.:*・゚✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚


ーFINー





【お知らせ】

作者の羽村美海です。
こちらにまでお付き合い頂きまして、ありがとうございます。

少しスランプ気味だったこともあって、本編の方でどこまで描くか迷って省いたこともあり、本編では物足りなさを感じた方もいらっしゃったかもしれません。

そういう部分もなんとか自分の思うように描き切れたので、後日、一部を本編に組み込もうと思っています。

その時には一旦非公開にさせて頂こうと思います、ご了承頂けると幸いです。

番外編第二弾、『ある夜の秘め事』ですが、まだ描けていないので数日お時間頂いて開始したいと思います。がっつり大人表現が入るので、苦手な方はごめんなさい。興味のある方はお付き合い頂けますと、幸いです。

追記、epilogueの前頁修正しています。

2021.5.10
< 545 / 619 >

この作品をシェア

pagetop