【紙コミックス①巻11/8発売②巻12/6発売✨】鬼畜御曹司の甘く淫らな執愛
蔵本から王子のことで忠告されたあの夜から、ニ月ほど経った頃、王子からの着信があった。
その日は朝からついてなくて、通勤途中に犬の糞を踏んづけるという地味にへこむことから始まって。
前日から私の指示で、あるマンションで張り込みをしていた部下が被疑者を取り逃がし、それを一課長にネチネチと文句を言われるわ、その事後処理に追われるわ、まだまだ他にも細かいことをあげればキリがないほどに、もう本当に散々な一日だった。
そんな厄日とも、あと数時間でおさらばだというところにきての王子からの着信だったので、これはもうフラグに違いないと踏んで覚悟はしていたが……。
『急なことで申し訳ないのですが、あなたとの関係を解消して頂きたく、連絡をさせて頂きました。実はーー』
いざ、王子の口から直接聞いてしまえば、やっぱりショックなものだった。
けれども、事前に蔵本から、王子のおかれている状況を聞かされていたからだろうか。
蔵本に聞いた直後のことを想えば、比べ物にならないくらいに、冷静に対応できている自分が居て、そのことに驚くと同時に、ホッとしつつも。
やっぱり電話とは言え、王子の口から直接理由についてを聞くのは怖かった。
政略結婚的なことならまだしも、もしも違っていた場合、自分がどれほどのダメージを食らってしまうのか、見当もつかないのだからしょうがない。
学生の頃からずっと憧れてきたのだ。そんなに長い間片想いなんてしたことがないのだから当然だ。
それに、私への要件を言い終えた後、何かを言い出そうとする王子の声音がいつになく嬉しそうと言うか、どことなく弾んでいるような気がして。
これはもう第六感的直感だと思う。刑事じゃなく、女の。