【紙コミックス①巻11/8発売②巻12/6発売✨】鬼畜御曹司の甘く淫らな執愛
王子の声音の僅かな異変を瞬時に察知してしまった私は、無意識のうちに王子の声を遮ってしまっていた。
「ストーップッ! 言っときますけど、ただのセフレなんだから、それを解消する理由なんてイチイチ必要ないからッ! ってことで、これからはただの先輩と後輩ってことで、一つよろしく」
『……え? あぁ、はい。……それは失礼いたしました。ええ、それはもちろん心得ておりますので。それでは夜分遅くしーー』
「あぁ、はい、はい。もう睡いんで、それじゃあ、さよなら」
そうして、王子が私の言葉に面食らったような声音で答える言葉にも耳を貸さずに一方的に話をさっさと切り上げ、王子との通話は終了。
それからはベッドに派手にダイブを決め込んで、頭から布団を被ると同時に、後から後から追いかけるようにして、際限なく零れ落ちてくる涙が枯れるまでただひたすらに泣き続けたのだった。
ーーこれでようやく、この長くて不毛な片想いから解放されるんだ。
なんて、強がりを何度も何度も胸の内で繰り返してるうち、いつしか寝落ちしてしまっていたようだった。
翌朝、目覚めた際に、泣きはらした顔は見るも無惨な有様だったけれど、気持ちの方は心なしかすっきりしてたんじゃないかって思う。
まぁ、それからの数日間は仕事の忙しさで失恋なんかで落ち込んでいるような暇なんかなかったし、いつにも増して部下が怯えてたような気がしないでもないが、予想してた以上に充実した日常を送ることができていた。
それからも当たり前だが日常は続き、相も変わらず、仕事の忙しさのお陰で立ち止まっているような暇もないくらいに、刑事の仕事に邁進していたのだが、王子にフラれてから三ヶ月ほど経った頃だっただろうか、王子と一緒に過ごしてきた時間を思い出すこともなくなってきていた、そんなある日の夜のこと。
私の携帯番号なんてとっくに削除していたと思っていた王子から、突如着信があった。