【紙コミックス①巻11/8発売②巻12/6発売✨】鬼畜御曹司の甘く淫らな執愛
入学する前は、新しい世界に期待と胸を膨らませ、入学してすぐの頃は、新しい環境に慣れない上に、新しい人間関係を築かなきゃならないしで一杯いっぱいで余裕なんてなかった筈なのに、ゴールデンウィークも目前に迫ってきた近頃では、色んなことにも慣れてきた。
高校生になったら、少しは大人になれるのかと思っていたけど、そんなにすぐに変化なんてある訳がない。
それなのに、慣れてきた途端、人気の男子をカレシにしようと、こぞってメイクを始めた周りの女子たちだけじゃなく、男子たちまでが浮足立っていて、近頃周りが騒がしくなってきた。
勿論、そんなもんに興味を持てないでいる私は、そんな周囲の変化にも高校生活にも慣れてきた所為で、近頃だらけ切っていて。
色んなことに手を抜くようになっていた。
髪型もしかり、小さい頃から男の子のような性格だったこともあり、よく男の子に間違われていたらしい私は、せめて見かけだけでも女の子のようにさせたいという祖父母や母の意向で、物心ついた頃から髪を肩下より短く切ったことなどなかった。
小学生になった頃には、しつけに厳しかった祖父母に礼儀作法を身につけるためにと華道に茶道、書道教室にまで通わされ、外で遊ぶのに邪魔で髪を切りたくても切らせてもらえなかったくらいだ。
そりゃ、板前になると言っても反対されるのも無理はない。
とはいえ、思春期ともなれば反発したくもなるわけで。
『志望校に受かったら髪型くらい自由にさせて欲しい。じゃないと息が詰まる。自由にさせてくれないんだったら高校へは行かない』
と、家族に啖呵を切ったお陰で、見事志望校への合格を勝ち取った私は、人生初のショートカットを満喫している真っ最中で。
髪の手入れも適当だったし、なんなら寝癖も直さないままでも恥ずかしいとも思っていなかったくらいだった。
当然、メイクなんて興味すらなかった。
すずにも言われていた通り、私は自他ともに認める残念な女子高生だったのだ。