【紙コミックス①巻11/8発売②巻12/6発売✨】鬼畜御曹司の甘く淫らな執愛
そんな状態に陥ってしまっている私の様子を心配そうに首を傾げて窺っていた男子の表情が徐々に怪訝そうなものになっていき、それに伴い混乱気味だった私の頭も徐々に平静を取り戻していったのだった。
ようやく平静を取り戻した私の頭が男子に抱きとめられているという状況を理解し、
「あっ、ごめんっ。すぐにどくからっ」
咄嗟にそんなことを言い放ち、慌てふためいた私が男子の腕から一刻も速く脱出しようと、幸い両足は床に着いたままだったため、床を蹴り上げてそのままジャンプし飛びのこうとしたのだけれど。
怪訝そうだった男子の表情が何かの悪戯を思いついた悪ガキのような表情に豹変し、へ!? 何? 急に、どうしちゃったの? なんて疑問が頭に浮かんできた時には、
「ダーメ。じっとしてないと落ちちゃうよ?」
表情同様の男子の意地悪な声が耳に飛び込んできて、飛びのこうとした私の身体がぐらりとバランスを崩して反転してしまっていた。
折角、両足は床についていたというのに、気づけば何故か、私の両足は宙にプランと浮かんでいて。
驚くことに、私は、夢に出てくる王子様の雰囲気によく似た男子によって、所謂お姫様抱っこをされているらしかった。
驚いた私が言葉も失い見開いた眼を白黒させている眼前には、ニッコリとした人懐っこい笑顔を満面に綻ばせた男子の超ドアップの顔が現れて。
やっと落ち着きかけていた胸の鼓動が一気に加速して、心臓が止まっちゃうんじゃないかって心配なくらいの全力疾走を始めてしまった。
ーー頭もくらくらしてきたし、もうダメかも……。
なんて考えが浮かんできた私の耳には、
「頭打ってるみたいだから、責任持って保健室に運んであげる。次の授業、苦手な英語だったからちょうどよかった……なんて言ったら不謹慎だよね? でも本当はそんなのは口実で、高梨さんと親しくなれるチャンス、逃したくなかったんだよね? なんて言ったら迷惑かな?」
ただでさえ混乱しまくりで、頭がくらくらしてきた私のことを大パニックに陥れるようなビックリ発言をお見舞いされてしまうこととなった。