【紙コミックス①巻11/8発売②巻12/6発売✨】鬼畜御曹司の甘く淫らな執愛
私のことを大パニックに陥らせておいて、颯爽と歩き始めてしまった男子の腕の中で揺られながらカッチーンと凍り付いてしまったように固まってしまっている私のことを見やって、くっくと喉の奥で笑ってから、さっきのビックリ発言に対しての真意を口にする男子。
「そんなに警戒しなくても。親しくなりたいっていうのは、友達としてってことだから安心してよ。ね?」
ーーそんなこと言ってきて、警戒心を解こうったって、そうはいかないんだから!
くっくと笑われてしまったことで、頭にカチンときてしまった私はシカトを決め込むことにしたのだった。
私の名前を知っていることにも驚いちゃったけど……。
このしれしれっとした表情で女子たちがときめいちゃうようなことを平然とやってのける様子からして、おそらくかなりの女好きかモテ男子に違いない。
だから今まで一度も面識のない私の名前まで知っていたのだろう。
それに男子の口ぶりからして同学年だろうけれど、男子に興味のない私にはこの男子が誰かなんて分からないから、例えそうだったとしても、確かめようもないのだけれど。
そんなことを思案していたら、不意にすずの顔が頭に浮かんできた。
ーーそうだ。こういうことに詳しいすずに聞けば、女の子にだらしないとか、タラシとかそういった良からぬ噂の絶えない男子であろうことが判明するに違いない。
自分からぶつかっておいて、それをわざわざ保健室にまで運んでくれようとしている親切な男子に対して、ますます私の心は頑なになっていくのだった。
それなのに、さっきから男子が何を言ってきてもシカトを決め込んでツンとすましたままの私のことを、この男子は気にもとめずに一方的に話しかけてくるものだから、だんだん悪いような気がしてきて。
私はついうっかり、クラスと名前を聞いてしまったのだった。
「私の名前を知ってるみたいだけど、あなたは何組の誰君なの?」