【紙コミックス①巻11/8発売②巻12/6発売✨】鬼畜御曹司の甘く淫らな執愛
でも、これには、別にこの男子に興味があった訳じゃなくて、正当な理由があったのだ。
この男子がどういう人物なのかを、私と違って男女ともに友達がたくさん居て情報通のすずに聞くために必要なデータをただ集めただけのことだった。
だから、親切にしてくれているというのに、私の聞き方は素っ気ないモノになっちゃったし、普通なら怒っても当然だと思うのに、男子は相も変わらず嬉しそうに、
「やった。興味を持ってくれてメチャクチャ嬉しい……じゃなくて、そうだった。自己紹介がまだだったね? 高梨さんと話せて嬉しかったからすっかり忘れてた。僕は、四組の結城《ゆうき》正人《まさと》って言います。正人って呼んでくれると嬉しいなぁ」
ニコニコと眩しいくらいの笑顔を満面に綻ばせているものだから、ますます良心がズキズキと痛んできて、調子を狂わされてしまっていた私の心はずっと落ち着かないままだった。
その所為で、どこかで男子の名前を聞いたことがあるような気がしたものの、それどころじゃなかった。
そうしているうち、いつの間にか保健室に到着していて。
結局、保健室に運ばれた私は、その時間をベッドで寝て過ごすことになってしまったのだった。
しかも、次の授業が苦手な英語だといってた結城君まで、
「先生、僕も頭打ったみたいなんで休ませてください」
ちゃっかりそんなことをいいだして、当然聞き入れてもらえないだろうと思っていたのに……。
人懐っこいニッコリ笑顔に騙されてしまったのか、若い女性の先生に、
「あら、それは大変。少し様子みたほうがいいわね」
なんて言われていた結城君は、私が横になっている窓際のベッドとは、真っ白なカーテン一枚隔てた隣のベッドに寝かされている。