【紙コミックス①巻11/8発売②巻12/6発売✨】鬼畜御曹司の甘く淫らな執愛
既に退路を断たれているとはいっても、どこまでも往生際の悪い私は、どこかでまだ諦めきれずにいた。
けれど、もう、今度こそ、本当に匙を投げるしかないようだ。
たった今鬼畜によって、真っ向から突き付けられた言葉で、気の強い自分の言動が鬼畜を悦ばせることにしかならないと、分かったところで。
物心ついたころから付き合ってきたこの気性を改めることなんて、今になってできるもんじゃない。
言い表せないほどの屈辱と、こんな鬼畜のいいなりになるより仕方ない情けなさと、鬼畜に対しての怒りと憎しみというように、様々な感情が次から次に湧いてきて、入り乱れた私の頭の中はもうグチャグチャで。
昂った感情に打ち震え、何も発することができずにいる私は、相変わらずニヤリと厭らしい微笑を満面に浮かべて、冷ややかに私のことを見下ろしている鬼畜に向けて、侮蔑を込めた、今まで以上に強い眼差しを向けることしかできないでいる。
そんな私に向けて鬼畜は、私の感情を逆なででもするかのように(実際、逆なでしているのだろう)、
「侑李さん、さっきまでの威勢はどうしました? さすがの侑李さんも、もう、お手上げですか? 侑李さんなら、もっと僕を愉しませてくれると思っていたのですが、残念だなぁ」
わざとらしく、これみよがしに、小バカにした口調で、そんなことを言ってきた。
当然、脳天直下、これ以上にないほど、カチンときてしまった私は、何かを考える間もなく。
「さっきから言わせておけば、好き勝手に言いたい放題。何が、『もう、お手上げですか?』よ。そう仕向けたのはあんたでしょうが?! 何が、『もっと僕を愉しませてくれると思っていたのですが、残念だなぁ』よ?! だったら、こんなことしなければいいじゃないッ! バッカじゃないのッ?! どうせヤルんだったら、さっさとヤッちゃいなさいよッ!」
これぞまさに売り言葉に買い言葉、鬼畜に向けて、これ以上にないというほどの強い口調で啖呵を切ってしまっていたのだった。