【タテスクコミック原作】鬼畜御曹司の甘く淫らな執愛

 朝からウットリしてしまった私は、思わず溜息を漏らしてしまった。

「あら、高梨さんが溜息なんて、珍しいわ。どうしたの? 何かあった?」

「あぁ、いえ、ちょっと朝から寝坊してしまって……つい」

「あらあら、ますます珍しいじゃない。大丈夫? 悩み事なら聞くわよ?」

「いえいえ、本当に大丈夫ですから。あっ、そろそろコーヒーの準備しておきますね?」

「あぁ、大丈夫よ。夏目君がちゃんとしてくれてるわ。ほら、噂をすれば」

「夏目さん、おはようございますっ!」

「あぁ、おはよう」

「じゃぁ、拭き掃除に取り掛かります」

「はーい。よろしくね」

 それを三上室長に心配され、ウッカリ寝坊なんて余計なことを言ってしまった私は、内心気が気じゃなかった。

 何故なら、事情があるとはいえ、社内規則で禁止されている副業をやってるからだ。

 一瞬ドキリとしつつも、なんとか誤魔化そうとしているところ、どうやらコーヒーやお茶などの準備を終えたらしく、給湯室から戻ってきた夏目さんの登場により、三上室長の意識が逸れて、私は救われたのだった。

 そんな私たちの近くで、せっせと拭き掃除に励んでいるのは、副社長の男性秘書である蔵本《くらもと》涼《りょう》さん。
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