Blue Pirates
「イリーナがいないと、何も楽しくない……」

楽しそうに話しながら歩く姉妹を見ていると、ロゼッタはイリーナのことを思い出して泣きそうになる。その時、あるお店が目に止まった。

「便箋屋……」

古風な雰囲気のあるお店の中に、吸い寄せられるようにロゼッタは入っていた。お店の中には色々な柄の便箋が置かれている。

「お嬢さん、手紙を誰かに書くのかい?」

店主の老人に訊ねられ、ロゼッタは「わかりません、吸い寄せられるようにここに来ました」と素直に話した。すると老人は優しげな目を向ける。

「お嬢さんの頭の中には、誰の顔が一番最初に浮かぶんだい?」

ロゼッタの頭に浮かぶのは、もちろんイリーナだ。ロゼッタは「妹です」と答える。イリーナに手紙を届けられたらどれだけ嬉しいだろう。しかし、それが叶うことは不可能だ。そうロゼッタは諦めている。

「手紙を書きたいと思う人がいるということはね、その人に対して大きな想いがあるんだよ」
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