Blue Pirates

「大きな、想い……」

イリーナの笑顔がロゼッタの頭の中に浮かぶ。もしも今鳴いているのなら、手紙で元気付けてあげたい。ロゼッタはイリーナの好きな水色の便箋を購入し、その便箋にペンを走らせていた。届けられないとわかっていても、ペンを止めることなどできない。

泣きながら手紙を書くロゼッタを、店主は微笑みながら見守っていてくれた。

お礼を言い、ロゼッタは書き終えた手紙を持って船へと向かう。航海が始まって初めてお金を使った。今、ロゼッタの中には様々な感情が渦巻いている。

「そんなにしょげてどうしたの？」

エレンの声にロゼッタは足を止める。スコットとエレンが十歳ほどの女の子に声をかけていた。女の子は確かに今にも泣き出しそうな表情だ。

「あのね、私、学校でいじめられてるの。海に宝物のブローチを捨てられちゃったし、もうどうしたらいいかわからなくて……」

エレンとスコットは女の子の頭を優しく撫で、「よく頑張りましたね」「命は短いんだ。そんな奴らのために悔やんでいる暇なんてない」と声をかけている。