Blue Pirates
「さぁ休憩は終わり。心の針が指す方角へ舵を切れ」

女の子は「ありがとう」と何度も言い、どこかへ行ってしまう。ロゼッタは胸を高鳴る胸にそっと手を当てた。

この人たちなら、イリーナを見つけてくれるかもしれない。そんなことを何度も思った。しかし、自分を助けてもらったのにこれ以上迷惑はかけられないと想いを隠してしまうのだ。

その時、急に強い風が吹く。ロゼッタの緩んだ手から風はイリーナ宛ての手紙を奪っていく。

「あっ!」

ロゼッタが慌てて振り向くと、手紙は空の彼方へ飛ばされるところだった。もう手を伸ばしても届かない。ロゼッタが諦めかけたその時、風がピタリと止んだ。手紙が誰かの手元に運ばれていく。

「こんなところで何してるんだ?」

ルーベンが風を操り、手紙を取り返してくれた。ロゼッタは「ありがとう」と言って手紙を受け取ろうとするが、ルーベンの隣にいたアルビーが手紙を見て言った。

「妹のイリーナへ?ロゼッタちゃんって妹がいるの!?会ってみたい!!」
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