Flower black



飛び出した瞬間、私は光くんの強い拳に顔を殴られた。


歯が折れたのか、口の中が切れたのか、口からポタッと血が流れる。



「……っ、やめて……いくら光くんでもいくら光くんに事情があろうが、私を助けてくれた桜夜くんを傷つけるのは許さない……」


「……」



私がそう言って光くんを見ると光くんは何も言えないような顔をした。



「蘭!! なんで庇ったの!! せっかく身体の傷だって治ってきたのに……自分のことを大切にしろって言っただろ!!」



桜夜くんは私の顔についてる血を袖で拭って今までにないくらいの大きな声で私を怒った。


「桜夜くん……袖が汚れるよ」


「そんなのどうでもいい! 菊磨! 蘭を病院に……」


「……行かない」


「蘭!!」



私はこの時初めて桜夜くんに対抗した。


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