Flower black
「……蘭……何を言ってるか分かってるの?」
「……分かってる」
私が頷くと桜夜くんは私を殴ろうとして、頬に触れる寸前で止めた。
ギュッと一瞬瞑った目を開けると桜夜くんは悲しい顔をしていた。
「……言ったよね。蘭1人で行かせないって……お願いだから行かないで……」
桜夜くんはそう言って私の肩に顔を埋めた。
そんな消え入りそうな桜夜くんの声に私がこれからすることは桜夜くんを傷つけるということを確信した。
「……桜夜くん、私はFlower blackを抜けるわけじゃない」
「……どういうこと?」
「私が"流星"に戻れば、光くんの本心が聞ける気がする。それに……桜夜くんは助けに来てくれるって信じてる」
「……」
私がニコッと笑ってそう言うと桜夜くんは私の頬に優しくキスをした。