Flower black
するとガチャっとドアが開いて、菊磨さんと桃李さんが入ってきた。
「みんなおはよーってあれ? なんで蘭ちゃん泣いてるの?」
「美羽が泣かせた」
「違うわよ、私は蘭さんに救われた。みんなも蘭さんに救われたよねって話をしただけよ」
「はは、蘭ちゃんそんな当たり前なこと聞いて泣いてるの? ほんと、自分のことは全然考えない子だよ」
桃李さんはそう言うと制服の袖で私の涙を拭った。
「だから、蘭。このメンバーで必ずこの裏の世界がずっと平和に続くように、頑張っていこう」
「うん……」
私は、こうして人に求められて、手を取り合っていくことなんて知らなかった。
みんなは私に救われたって言うけど違う。
私は、逃げ出したあの日からずっと桜夜くんに救われつづけている。
強くて優しい、この人に。