Flower black
「……おかあ、さん……」
花束を持ったお母さんが座っていた。
「なんで……? お母さん、いろいろ、点滴で繋がれてないと外に出れないはずじゃ……」
私がポロポロと涙を零していると、お母さんは私をギュッと抱きしめた。
「……桜夜くんが、優秀なお医者さんを紹介してくれて、治療を続けていったら今日やっと外にでる許しを貰ったの」
優秀な医者……逢坂先生に主治医が変わったのは知っていた。
でも外で歩けるようにまでなるなんてー……
「うっ……」
「蘭、今までお母さんのためにありがとう。あと、素敵な人と出会ってくれて、お母さん嬉しいわ。……桜夜くん、蘭と出会ってくれてありがとう」
お母さんがそう言って桜夜くんを見ると、桜夜くんはギュッと私とお母さんを包み込んだ。