恋の涙、愛の傷
木曜日。明日は高科と会う日。



会いたいけど・・・




カナの心はもやもやしていた。

そんな日だった。

「おい、カナぁ!」

会社の中を歩いていると、

同僚の佐藤さんが声をかけてきた。



カナは会社の中でも苗字ではなく、下の名前で呼ばれることが多い
葉山と呼ばれることはあまりない。

「なんですか?佐藤さん」
「お前さ、彼氏いたっけ?」

「いませんよ~」
この返事で、また現実に引き戻される。

こうやって、嘘をつかければいけないことまでが、辛くなった


「そっかぁ。明日、飲みに出る?」
「・・・はい。友達と約束してるから」
「あのさぁ、成形課の先輩がさぁ、どうしてもカナに会いたいって」
「明日は無理ですよ。また今度ですね」


適当に話をはぐらかして、佐藤の元を去った。






・・・彼氏いるって言えばよかったかな・・・



・・・なんて、無理か・・・・
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