恋の涙、愛の傷
「まずは、お友達からね」

何かを吹っ切ったように、カナが手を握り返す。

「ふるっ。その言い方。

カナねぇ、年上だなぁ~」

ケンが子供っぽく笑う。


「うるさい!

・・・やっぱり前言撤回する」

カナがケンの手を離す。


しかし、ケンは余裕の笑みを浮かべ

「カナねぇ、いつか、俺に夢中になるぞ」

「すごい自信だね」

「だって、俺、超イイ男だもん」


カナははっとして、そして、静かにケンの手を握った

ケンは、神社の本堂に向かって

「神様、よろしくお願いします!」

そう言って、カナを見つめ、笑った。






神様、いい男と巡り合わせてくれてたの?


カナはそっと心の中でつぶやいた。








手をつないだ二人の影が、月夜に照らされ、長く伸びていた
< 85 / 86 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop