いつまでも、、、
~真吾side~


俺には、何よりも大切な女の子がいる。


愛娘の心愛。


誰よりも、何よりも、大切な女の子。


15年前に産声を上げたその日、何者からも守ろうと心に決めた。



そんな女の子は、ここ3年程連絡がつきにくくなっていた。


5年前買い与えたスマホで毎日電話やメールをしていた。

2週間に1回必ず同じ時間を過ごした。

それもここ3年、連絡がつきにくいし会う頻度が減った。

そして何より····

雰囲気が前と比べて儚く、纏った空気は冷たい。

前はそんなことなかった。

優しい温かい空気を纏い、たくさん甘えたりしてくれたのに、今の心愛には距離がある。

それが何故なのか、全くわからない。



俊「心愛、プリン食うか??」


「ううん。」


俊「····そうか···」



昔···

まだ一緒に暮らしてる時は、無邪気な女の子だった。

ごはんの時間が大好きで、遊ぶことが大好きで····

プリンが大好きだった。

それが、もう食べる姿も、無邪気に笑う姿も···

随分見られてない。


何かを抱えてるはずなんだ。

でも、それを聞くことが怖い。

その一歩が出ない。

それは俺だけじゃなくて、コイツらも。

俺と同じように心愛に愛情を注いでくれて、家族そのものの存在。

心愛の異変にだってすぐ気付いてくれた。


幸「ねぇ真吾···」


真「···わかってるよ···」


それでも、今日はどうしても聞かなきゃいけないことがあった。

俊樹と心愛が和気あいあいと話してるところを割入った。


真「心愛、ちょっと良いか??」


「ん??」


真「····心愛最近さ····ママどうしてる??」


「····ママ···??」


真「うん···仲良くやってるか??」


「······何で??」


繕ったような笑顔を向けられた。


真「この前ママに電話したんだ····夜中だったんだけどさ、心愛はいないって言われて····その前も、その前も····ずっといないって言うんだよ。どういうことなのかなって思って···ママは何も言わなかった。だから、心愛の口から聞きたいんだよ。」


「·······そんなことあるわけないよ。」


真「····そうだと思うけどさ····でも····いつ電話してもいないなんて···」


「ママがそう言ってるだけで、ちゃんといるよ??」


真「···本当??ちゃんとママと仲良くやってる??」


「·····」


前から、そこには疑問があった。

あまり自分の話をしないし、母親である冴島麗華の話は、特に出ない。

麗華も、心愛の話を振っても知らないとしか言わない。

いったい、この2人はどうなっているのか····


俊「心愛、俺らはさ···常に心愛の味方だ···もし何か困ったことがあるなら···」


「何も···してくれなくて良い。」


冷たい、聞いたこともないような冷たい声がした。


「···パパ達は····ただ幸せになってくれたら良いから。」


真「····パパの幸せは····」


心愛が幸せであること。


「···パパはその雑誌の人と結婚するの??」


来る度に聞かれるそれを、いつも否定する。

心愛は、俺が再婚するのを望んでいるようだった。


真「ここ··」


ガチャッ


修「おい、何で起こさねーんだよ。」


「修ちゃん····」


修「心愛!!お前何ヵ月振りだ?」


ギューッ


修「ちょっと痩せすぎじゃねーの??」


「そんなことないよ。」


心愛が鞄に荷物を詰め始めた。


「じゃあ、帰るね。」


真「!!何で??···まだ時間あるじゃん。」


修「何でもう帰るんだよ??まだ昼だぞ。」


面会は9時から16時までと決められていた。


まだ昼の12時だ。


「···パパ??」


真「何···??」


「····」


頭を撫でられ、ギュッと抱き締められた。


「ありがとう····たくさんたくさん····ありがとね。」


真「······心愛···??」


悲しそうな、寂しそうなそんな顔で····

ザワリと嫌な感じがした。


「俊ちゃん、幸ちゃん、修ちゃん??····パパのこと、頼んだよ??」


俊「·····心愛、お前···何考えてる??」


「何も考えてないよ。また来るから···」


真「いつ??」


「え??」


真「そうやって、何ヵ月も来ないだろ···パパのこと嫌い??」


「大好きだよ??」


真「じゃあ···話してくれないか?···ずっと思ってた、ここ何年か····心愛の様子がおかしいなって····夜は連絡がつかないし、会う頻度だって減ってきて···ママに聞いても何にも言わないし····パパ不安なんだよ···」


「パパはパパの生活があって、私にも、私の生活があるよ。何をしてて、どんな生活してるかなんてわからないでしょ??」


真「そのわからないことを知りたいんだよ。」


「知ってどうするの??」


真「そんなことわからないけど···」


「····知らなくても良いことだって···世の中にはたくさんある。」


何だよそれ···
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