聞こえるまで何度だって言うよ
でも僕たちは本の話以外をすることなく、季節だけが過ぎていった。気が付けばもう冬。クリスマスガ近づいている。

「美月〜!私たちで集まってパーティーでもしない?」

「いいね〜!やりたい!」

そんなことを葉桜さんの友達は言っている。クリスマス、葉桜さんと過ごしてみたいな。なんて、恋人でもなく友達と言うには微妙なこの関係の僕が言える台詞じゃない。

でも、楽しく笑う葉桜さんに何か本でもプレゼントしたいなと思った。葉桜さんが喜ぶプレゼントって何だろう?僕だけがあげられるものって何だろうって考えた時、本しか思いつかなかったんだ。

だけど、せっかく買った本は葉桜さんに渡せなかった。こんな僕からもらったものなんて嬉しくない、って思ってしまうと何も行動できなくなる。

そして、僕は何もできないままクリスマスを迎えたんだ。



どれほど立ち止まっていたんだろう。人がさっきより増えたような気がした。

「クリスマスツリーの前で写真撮ろうよ!」

「嬉しい!写真、インスタにアップしていい?」
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