聞こえるまで何度だって言うよ
「家頭くん!!」

後ろから聞こえた声に、僕はピタリと立ち止まる。幻聴?ううん、絶対に違う。他の誰か?ううん、僕を呼んでくれる人は一人しかいない。

「葉桜、さん……」

僕が振り向けば、真っ赤な顔をして葉桜さんが息を切らしていた。可愛らしいラップコートを着ている。

「どうしてこんなところに?友達とパーティーしてるんじゃ……」

僕は戸惑い、葉桜さんに声をかける。葉桜さんは「パーティーは抜けた!だって今日のうちに家頭くんに伝えたいことがあるから!」と顔を上げる。その顔はいつになく真剣で、ちょっとだけ期待しちゃうよ。

僕たちはとりあえず歩くことにした。向かったのはクリスマスツリーのある場所。好きな人とクリスマスツリーを見る。デートみたいだ。

「……どうして僕がここにいるってわかったの?」

僕は一番気になっていることを訊く。するといつものような笑顔で葉桜さんは言った。

「家に行ったけどいなかったから」
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