涙の先にあるのは、きっと
夢を描けるようになったのも、きっとお父さんたちのおかげ。お父さんたちがずっと習いたかったピアノを習わせてくれたことで、私は完全に音楽の道に進みたいって思ったんだ。

愛ちゃんはファッションデザイナーになって活躍している。私がライブで着る衣装を作ってくれることもあるよ。

血のつながった家族とは、一度だけ顔を合わせたことがある。それは私が歌手デビューして有名になり始めた頃だった。

「亮平のせいでお金がないの!」

「家に戻って来てくれないか?」

涙ながらに二人に言われたのは、亮平は大学受験に失敗した頃から遊び回るようになり、キャバクラに通って大金を使っているというものだった。

「そんなの自業自得じゃない。私をいらないって言ったくせに困った時は頼るとか都合が良すぎでしょ。帰って」

二人は諦めて帰ってくれた。それ以来、あの人たちがどこで何をしているのかなんて知らない。今は、目の前のことを全力で楽しまないと!

「亜梨沙ちゃん!早く早く!」

「わあ!待ってよ」
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