【完】スキャンダル・ヒロイン
小学校の時にスポーツの出来た人気者の雄太は私を好きだなんて、友達に言われるまで気づかなかった。けれどよくよく小学校の時の写真を見返せば、必ず雄太は私の方を見ていた。

けれど小学生の恋心なんて空気よりも軽い物である。好きだと聞かされてから意識はしたがそれから発展はまるでなし。

中学校の時の同級生より少し大人びていた学校全体からモテ男だった安浦君は、とにかく中学生らしくない男の子だった。照れ屋で直ぐにぶっきらぼうになる私を可愛いと言ってくれた。

けれどそれは最早ペット扱いだったに違いない。結局彼は同級生の1番可愛い子と付き合っていた。

高校生の時に学校をしきっていたひとつ年上のちょっと悪い感じの北原先輩は、何かあれば私に構ってきていて、登下校をする時に無理やり手を繋いでくるような強引な人だった。

恋愛経験の全くない私にとってそれは無性に恥ずかしくって、不愛想な態度ばかり取っていたら、いつの間にか私より1個下の美人な後輩と付き合いだした。


これをモテたと言うのだろうか?

しかし私は昔から学校内でも目立つ人間に無駄に構われる傾向にあり、逆に普通の男の子からは一切モテなかった。

そして人より特別だと思われる人間に好かれるのは悪い気分もしなかった、が…。自分が気に入られたり好かれたりするのは苦手なのだ。それが自分よりずっと優れている人間ならばなおさら。勝手に意識をしてしまい、好き避けをしてしまうのだ。

こんな事になるならば、誰かと付き合っておけば良かった…。

気が付けば21歳。

そしてつい先ほど、途中まで上手く行きかけていると信じて疑わなかった恋は終わりを告げたのだ。まさか好きな人と信頼していた友達を一気に失うとは思っていなかったが…。


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