【完】スキャンダル・ヒロイン
映画にも何本も出演して、ドラマも何作も出た。
けれど世間が興味があるのは俺の演技と言うよりかは、人気若手俳優の私生活の方だった。
友達と思っていた芸能人に誘われた飲み会が合コンで、何故かそこでの立ち振る舞いも大袈裟に話が盛られ誰かから暴露されたり
一緒にドラマに出た新人女優に相談があると言われ食事に行っただけなのに、熱愛スクープとして週刊誌に撮られた。それが女自身からのたれこみだと聞いた時は怒りを通り越して何故か笑えた。
売れたきゃ自分の実力で売れればいいのに。何故に姫岡真央の名前を利用するのだろう。
段々と性格が捻くれていって、周りにも横暴な態度を取るようになってしまう。
子役上がり、だとか。元舞台女優の母親のコネでテレビに出ている。だとか。散々書かれた。
実力はない、とも。それは俺の責任だったかもしれないけれど、真面目に取り組んできて真摯に役者の仕事に向き合ってきたから、ショックだった。
メンタルが弱いとは、山之内さんから言われていた。子役時代から親代わりで忙しかった俺の面倒を見てきた人だ。
そして山之内さんは少しだけ芸能活動を休みましょうと言ってくれた。いつの間にかカメラを前にするのが怖くなっていた。カメラを前にすると動悸や息切れが酷くて演技どころの話ではなくなるまで、状態は悪化していた。
ちょうどそんな頃からだった。再びこのグリュッグエンターテイメントが管理する寮に再び暮らし始めたのは。