【完】スキャンダル・ヒロイン
おい、この女俺に今色目使ってんだぞ?惚れた弱みか?それにも気づかずにどうかと思うぞ?
そしてお前、何が見せびらかしたかっただ。調子に乗ってるだと?どこがだ。
「譲も、もう止めてよ。静綺は本当に良い子だし、私が全部悪いんだから。」
「なんて、全然悪いと思ってないよね?君」
にこりと笑顔を崩さないまま、彼女へ視線を投げかける。
潤んだ瞳から涙は引っ込み、は?と言うような視線をこちらへぶつけた。
「自分が良い子に見られたいだけだよね?良い子の自分に酔ってるだけだしね。
そんなに沢山の男にチヤホヤされたい?
自分弱いんですって振りして平気で友達の好きな人盗っちゃうんだもんね~、相当図太いよね~?
今日だってこの場に来たら静綺が惨めになるの分かってたよね。」
俺の言葉に、しおりは顔を真っ赤にして下唇を噛みしめた。
人は図星を突かれると黙り込んでしまう単純な生き物だ。
「おい、あんた何だよ?何も知らねぇくせに勝手な事ばかり言ってんじゃねぇよ?」
俺と女の間に割って入って来た。大体にしてこいつは気に食わなかったんだ。静綺に無神経な連絡を寄こしてきて
胸倉を掴むと、男は一瞬怯んでこちらを睨みつけてきた。