【完】スキャンダル・ヒロイン
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「それでどうなったんだよ。教えろよ」

「うるさいなぁ、私の美しい恋物語は私の心の中の思い出のアルバムにしまっておくのッ」

「おい!俺はお前の恋人の振りまでしてやったんだぞ。ぴえーって泣きそうな顔してたから!」

「うるさい。誰がぴえーって泣きそうな顔してたっつーのよ。
大体真央が変な事を言ったから、大学で噂になったらどうしてくれんのよッ。」

「いいだろ。噂でもこんなイケメンと付き合ってるなんて話一生縁のない事だろうから!」

「ほんっとムカつくなぁ。  それよりカレー食べる?」

「食うッ!  おい!それより静綺!あのたっくんとやらとはどうなったんだってば!
まさかあいつお前に心変わりしたとかないよな?!」

「もうしつっこい!そんなのありえるかっつーの!
ただいまーッ!」

寮に戻ってからも真央はしつこく私とたっくんについて聞いてきた。

今日は屋台で沢山奢って貰ったけれど、お腹ぺこぺこだ。ふたりでカレーを食べようと浴衣のまま食堂の扉を開けた瞬間

まるで映画の映像のような光景が瞳へと流れ込んできた。

「おかえり。」

「え?」

「うわぁ、静綺ちゃん浴衣姿だぁー、めっちゃ可愛いじゃん。すっごく似合ってる」

「昴…さん?」

目をごしごしして見ても目の前にいるのは紛れもなく昴さんだった。

白馬がどうしても似合ってしまう、王子様。今日もきっらきらのオーラ全開で1ミリのずれもない笑顔をこちらへ向ける。

黒目がちな大きな瞳は何故こんなにキラキラしているのだろうか。思わず口を開けたまま見とれていたら、軽く真央に頭を小突かれた。
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