【完】スキャンダル・ヒロイン
そして鋭い視線でこちらを睨みつける。…だからそういう所は出会った時から何一つ変わらない。ムカついたから真央の足を思いっきり蹴ってやったら、しゃがみこんで足首を押さえだした。どうやら命中してしまったらしい。
そんな私達のやり取りを見て、昴さんはクスクスと小さく笑う。
「ふたりして花火大会にデートに行ったって聞いてるよ。本当に仲が良いんだね」
全然全く勘違いでございます。
それにしても多忙であるはずの昴さんに再び会えるとは思ってもみなかった。
「あ、静綺ちゃんカレーご馳走になったよ。相変わらず美味しくって感動した。本当に料理上手だね。お嫁さんにしたくなっちゃうくらい」
「そんな……」
リップサービスだとは分かっている。けれどこんな優しくてかっこいい王子にそんな事言われたら、ドキドキしない女の子なんていないよ。
さっき真央にドキドキしたのは勘違いだ。あれは花火の音のせいでドキドキしてしまっただけだ。
本当のドキドキというのはこういう事なんだ。あぁ今日も尊い位かっこいい。昴さん…あんた本当に王子様だよ。
「おい!昴!何しに来た?!」
「あ、俺暫くこの寮でお世話になろうと思って。
今度の秋の特番のドラマの現場ここからの方から近いから」
さらりと自然に言って、昴さんは何でもないような顔をした。
「だから静綺ちゃんよろしくね?」
この日寮中に真央の叫び声が響き渡ったのは言うまでもない。
失恋さようなら記念日に、まさかの運命の人に出会う?!