【完】スキャンダル・ヒロイン

そうなの……?
私には真央の事はよく分からない。

すっごく意地悪だったり、時たますごく優しくて、何で私の為にそこまでしてくれるの?って思う事もある。

でも相変わらず口は悪いし一見して見たら全く私の事好きそうじゃないけど。それでもあいつの態度一つで振り回されている自分がどこかにいて、黙っていれば綺麗な横顔にドキドキしたのは事実だ。

花火なんて見る余裕もなく、彼の綺麗な横顔に見とれてしまった。

「それに芸能人ってお高く止まってるイメージだけど、すっごく性格が良いんだね。姫岡真央って」

「性格が良い…?」

今までの話を聞いてどこが性格が良いのがいまいち疑問なのだが…?
りっちゃんはアイスティーに口を運びながら、ゆっくりと口を開く。優しい笑顔だった。相変わらず私の話を嫌な顔ひとつせずに真剣に聞いてくれて、良い子である。

「だってそうじゃない。親しみやすい性格で…芸能人って遊んでるってイメージだけど、すっごく真面目で優しくって。
きっとすごぉーく性格の悪い芸能人だったら私達みたいな普通の女子大生なんて相手にしてくれないって。」

「確かに……」

ただの天然で抜けているような所ばかり目についていたが、親しみやすいと言えば親しみやすいか…?

何でも器用にこなすように見せかけて、陰ではすっごく努力家で、不器用な所があってとても人間らしい。

そう改めて考えてみたら…真央のような真っ直ぐな性格の人は、芸能界みたいな厳しい世界ではすごく生きづらいんだろうな。
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