【完】スキャンダル・ヒロイン

「そう考えたら良い奴なのかも…。ちょっと馬鹿で抜けてる所あるけど」

「キャーッ。馬鹿で抜けてる所があるなんて、静綺だけが知ってる特権みたいで今ときめいた」

「ちょ、そういう事じゃなくって…真央がちょっと馬鹿で抜けてるなんてきっと寮にいる皆分かってるだろうし…。だから別に私だけが知ってる訳じゃないよ」

「ふ~ん、けれどさ…静綺自身は姫岡真央の事をどう思ってるの?」

りっちゃんにそう問われ、改めて考える。
私が真央をどう思うかって…?

一見誤解されがちだけど、仕事に対して真剣に取り組んでいて…そこは尊敬する。

すごく美しく綺麗な顔立ちをしている癖に…表情はころころと変わって、喜びも怒りも真っ直ぐに表現する。実は魅力的な人だと思う。

素直じゃなくて口が悪いけれど、心の奥底では優しい心を持っていて、何より純粋な人物だと思う。けれど、それをどう思っている?って実際聞かれてみたら。

「分からない…」 それが正直な答え。

最初はこんな嫌な奴がいるものかと思っていたけれど、知れば知るほど良い所ばかり見えてきて。

知れば知るほど分からなくなる部分もある。大体恋愛対象なんかじゃなかった。芸能人ってだけで特別な目で見ちゃうし、元々住む世界が違うんだから、私と真央がどうにかなるって事はないと思う。

「分からないけど、やっぱり別世界の人間だとは思う。馬鹿で抜けてるけれど、見た目はすごく綺麗で同じ人間とは到底思えない。
やっぱり特別な人だと思うよ…。沢山の人の目を惹くのも分かる。だからやっぱり私なんて釣り合いが取れないから、全然ない」

その言葉にふぅっとりっちゃんが小さく息を吐く。これは呆れている時のりっちゃんの癖だろう。
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