【完】スキャンダル・ヒロイン
Act7 これは恋の病ですか?
Act7 これは恋の病ですか?
「これとこれも見て見てよ。サスペンスだけど結構評判が良かったんだ。
後ね、こっちは主演じゃないんだけど思い出深い作品だから私的にはおすすめ。」
お風呂から上がり昴さんの部屋に行くと、彼は積み上げられたDVDをひとつひとつ愛おしそうに紹介してきた。真央もそうだけど、昴さんも演技の仕事が好きで誇りをもっているんだ…。
感心してしまう程、自分の仕事へ実直に向き合っている。
しっかし今私スーパースターの部屋に入っちゃっているよ。これはこれで凄い経験だと思う。
がらりとして物が余りない部屋は、1年前まで昴さんが暮らしていたという。部屋はその頃のままらしいけれど、シンプルな部屋の本棚には真央と一緒で様々な書籍が置かれていた。
それにしても良い匂い。どうして美しい人からは良い匂いしかしないんだろう。落ち着かなくそわそわとしながらフローリングの床に座り込んで、昴さんから貰ったDVDを見つめていた。
「床に座ってたら痛くない?こっちおいでよ」
ぽんぽんと昴さんが左手で叩いたのは自分が座っている白いシーツが敷かれたベッドだった。
お風呂上がりの彼は髪が少しだけ濡れており、普通のティシャツとスウェットを履いているだけなのに妙に色っぽい。黒目がちなその瞳にジーっと見つめられると、吸い込まれてしまいそうになるから思わず目を逸らしてしまう。
「いえ!私のような者は床で結構ですので」
「何だよそれ~…面白い子だなぁ~…」