【完】スキャンダル・ヒロイン
Act Side真央 In love with me
Act Side真央 In love with me
俺は馬鹿だ。いや大馬鹿かもしれない。
あいつを泣かせるのは2回目だ。始めに寮にやってきた頃と、そして今日。
好きだと意識してこれが恋だと確信してもなおも素直になれない。真逆の事ばかりしてしまって、優しく出来ない。
無理やりキスをしといて’どうせ芸能人だからいいと思ったんだろう?’は無いだろう。ショックを受けて傷ついた顔。大きな瞳に涙をいっぱい溜めて目を真っ赤にさせていた。
ベッドを両手で殴りつけて、消えてしまいたい気持ちでいっぱいだった。
誤解なんだ。そんなつもりで言った訳じゃない。本心なんかではなかった。
ただ昴とふたりで出掛けるのがつまらなくって、意地悪をしただけなんだ。
’大っ嫌い’と言われてもう本気で嫌われたと思った。素直に…昴とふたりで出かけるのは止めてくれ、と言いたかっただけなのにどうして俺はこんな性格なのだろう。
ただでさえ撮影で忙しくって眠れない日々が続いていたのに、その夜は全く持って眠りに着く事が出来なかった。
―――――
「んん~…美味しい。俺炊き込みご飯って大好き。
朝からこんな美味しいご飯を食べれるとか仕事にやる気がでるよー!」
「そうですか?そう言ってもらえると嬉しいな」
けっ!!!!!!
朝からよくそんな歯の浮いたような台詞を吐けるってもんだ。お前は日常生活24時間俳優かよ。
まぁ~…昴が裏表なく良い奴っていうのは昔からの付き合いの俺が1番理解っているがな。分かっているから、悔しい。俺には出来ない事を軽々とやって見せる昴が羨ましい。