【完】スキャンダル・ヒロイン

今日の朝食はキノコの炊き込みご飯。
チンゲン菜のお味噌汁と卵焼きと焼き魚。

毎日思う事だけど、どうして静綺の作る料理はこんなに優しい味がするんだろう。特に味付けが濃いわけでもないのに満足感があって、食べると俺だってやる気がみなぎってくる。

心ではそう思っているのに、素直に口に出す事が出来ない。

「この混ぜご飯お昼も食べたい!おにぎりにしてもらえる?」

「いいですよ~。でも涼しい所に保管しておいてくださいね~。真夏ですから昴さんがお腹でも壊したら大変」

「静綺ちゃん優しいなぁー」

素直に…昴みたいに’おにぎりにしてもらえる?’とか’優しいなぁ~’って言葉に出来たら…。静綺だって俺の事をちょっとは意識をしてくれるかもしれないのに。

いや、意識はされなくっても優しくはしてくれるだろう。 せっかく俺の演技を好きだと言ってくれて、距離が段々近づいてきているような気もしたのに、昨日の事でぶち壊しだ。

静綺を見つめる昴の優しい瞳。もしかして…こいつ本気で静綺を…?おいおいまさか…いや…十分にあり得る。だってこいつが再び寮に来たのって絶対…。

そして昴のような完璧な男に告白されたら静綺だって心奪われるに違いない。

昴は俺より身長が高い。俺より優しいし性格も良い。かっこよさなら同じくらいだろうけどー…いやきっと昴の方がかっこいいと思っているに違いない。

そう考えたら俺って昴に勝てる所がひとつもねぇーーーーーッッ!


昴と楽しそうに話している静綺を見つめていたら、目が合った。しかしそれもぷいっと直ぐに逸らされてしまう。しかもかなり怒った顔をして

それは…落ち込む。
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