【完】スキャンダル・ヒロイン
でもそういう態度を取られても仕方がない。昨日あんな強姦紛いな事をしておいて、その上に暴言まで吐いて…。
「昴さん、坂上さん、いってらっしゃい。頑張って下さいね」
本日ドラマの撮影。坂上さんが昴の現場まで近いって事で送って行く事に…。
寮を出て行く時も昴と坂上さんにだけしかいってらっしゃいを言ってくれない。俺の存在はまるで始めからなかったもののようにまるっきり無視。
「おい!」
思わず声を上げると、じろりとこちらを見られた。…どうして俺ってこういう言い方しか出来ねぇんだ。
「何ですか?」
冷たい視線と共に冷たい言葉を投げかけられる。怒っている。それも冗談ではなくかなり怒っている。
こんな時に素直に’ごめんね’って謝れれば良かったのに、俺としたらまたしても。
「今日はドラマの出演者と外で飯を食う。だから夜ご飯はいらねぇ!」
「あっそうですかー」
「共演者の女優が一緒に飯を行こうってうるさくってなぁ。
まあ俺ってモテるからなー」
いやいや俺何を言っているんだ。何故自分自身で破滅の道へ進むような事を――!
共演している女優に飯なんて誘われてねぇ。寧ろ誘われても断るし!違うんだ!誤解だ!
静綺はちょっとムッとした表情をしたけれど、直ぐに笑顔を取り繕った。
「それは良かったですね。モテモテなんですねぇ~。どうぞどうぞゆっくりしてきてください~。
でも週刊誌に写真撮られたりはしないで下さいねぇ~事務所に迷惑がかかるんだから」
「フンッなんでお前のようないちバイト如きに偉そうに言われなきゃならねぇんだ」
「あらーそれはそれはスイマセンでしたーフンッ」