【完】スキャンダル・ヒロイン
「まさか俺の機嫌が悪いのがあのブスの所為だとか思ってねぇよなぁ?
それはねぇよ。別にお前があいつと出掛けようが何をしようが俺の知ったこっちゃねぇ!」
「別に俺静綺ちゃんの話をしたつもりはないけどねー」
涼しい顔をしてそっぽを向いた昴の横顔に、更に苛立ちが募る。
顔を真っ赤にさせ怒り狂う俺に対して、冷たい視線が投げかけられる。どうして俺がお前にそんな顔されなくっちゃいけないんだよ?!
大体お前モテるだろう?彼女だっているだろう?なのに何故静綺に構う?それで本気であいつが勘違いしちまったらそれはそれであいつが可哀想だろう?
俺は出来るだけ平静を保って小馬鹿にするように昴に問いかけた。
「ふ……まさかお前さぁ、あいつと一緒にお笑いライブに行こうとしたり、そ、そ、その後に食事に行こうなんてまるでデートじゃねぇか。
まさかあんなただの一般人にき、きょ、興味があるとかねぇよな?」
お願いだ否定してくれ。そうじゃなきゃ俺の心が持たない。
「そうだねぇー。結構興味あるかも。だって静綺ちゃん可愛い系の美人だし何より反応が可愛らしいんだもん。
それに料理も上手だし」
「ひゅッ」
喉の奥から変な声が漏れた。段々顔が青ざめていって、血の気が引いていくのが分かる。
こいつは一体何を言っているのだ?理解に及ばない。
けれど車内で長い脚を拡げて、こちらに向かって小首を傾げて僅かに口元に笑みを浮かべるこいつが…こいつが…憎い。
「あれ?何か真央顔青いよ?」