【完】スキャンダル・ヒロイン

「き、気のせいだろ。つーかお前彼女いるだろ。あのクッソ趣味の悪ぃ大物女優気取りのなんとか小雪つー女が…
それを一般人にまで手を出そうとするのは俺でもどうかと思うよ」

「小雪とならちょっと前に別れたよー。この寮で暮らす前?」

頭から雷が落ちたような衝撃が走った。もうその場に座っている事さえ辛くなり、思わず膝を抱える。

あの趣味のクソ悪ぃ大物気取りの女優だけが頼みの綱だったのに、何をいけしゃあしゃあと別れていやがるんだ。

ニコッと天使のような微笑みを昴はしたけれど、俺には悪魔の微笑みにしか見えなかった。

「だから俺フリー。全然静綺ちゃんアリかなー」

「で、で、でも恋愛つーのはアリかな~って軽い気持ちで始めるもんじゃねぇだろ。それは相手にも失礼すぎる!」

「えーそう?アリかなーって軽い気持ちで始めたってそっから本気になる事だってあるわけだし、そんなん全然アリだよね?坂上さん」

運転席のシートに手を掛けて坂上さんに昴が言うと、坂上さんは少しだけ困ったように「ウーン、僕はそういうのよく分からないなぁーははは」と誤魔化していた。

ぜっんぜんアリじゃねぇよッ?!こっちは本気なんだッ!
それをアリかな~?とか軽口を叩ける男になんか取られてたまるか!

「真央も今日共演者の子と食事行くんでしょ?」

「あぁまあな…」

嘘だけど…。そんなの全部嘘っぱちに決まってるけど。

「岬ちゃんもいるもんねッ。この間局で会った時真央の事を訊いてきたよ。まだ岬ちゃん真央の事好きなんじゃないかなー?」
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