【完】スキャンダル・ヒロイン

「やっぱり!豊さんもそう思う?最近真央元気ないよね?
大人しいっていうかー…顔に覇気がないって感じで…。
やっぱり撮影大変なのかな?体に負担がかかっているのかも…そう考えたら心配」

私の様子を見ていた豊さんはまた優しい瞳を揺らす。

こんなベラベラと真央の事を喋ってしまっていたら、気持ちがバレてしまうかもしれない…。いやそれ以前に豊さんには私の気持ちなんてお見通しだったのかもしれないけど…。

「静綺ちゃんは人に公平に優しいタイプで実は気配りが出来るタイプだけど…
真央くんの事になると性格にムラが出るねぇ」

「ムラ?」

「うん。心配でどうしたらいいか分からなくなって、結局何も出来なくなっちゃうの…。不器用とも言うけど」

確かに豊さんの言う事は当たっている。
どんなに心の中で心配していたって、相手に伝わっていなかったらどうにもならないのに。

不器用も問題ものだ。優しくしてあげたいのに、気遣ってあげたいのに真逆の行動ばかり取ってしまって、それが真央のストレスになってしまっていたら意味は無い。

それじゃあ嫌がらせしてるみたいじゃんか。でもどう言葉を掛けていいのか分からないのだ。
考えてばかりいて行動に移せないのは1番良くない。分かってはいるのに。

「自分が思ってる事、素直に全部真央くんに言っちゃえばいいのに…」

「素直に全部?」

それは絶対に却下だ。

思っている事を素直に全部言ってしまったら、更にストレスをかけるような気がする。
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