【完】スキャンダル・ヒロイン

自分が1番忙しい癖に周りへの気遣いも絶やさずに、どこまでも人間が出来ているタイプだった。

テレビの中や雑誌の中と全くイメージは変わらない。全然ギャップはない。完璧に何でもこなす人。真央とは正反対で、根っから器用なタイプな人なんだと思う。

「昴さん今からお風呂ですか?」

「真央が直ぐ終わるっつってんのに長ぇんだもん」

「アハハッ。女の子並みの長風呂ですからねッ。」

「こっちも疲れてるから早く風呂入って寝たいんだけど~。
それより明日豊さんのライブ楽しみだね」

その言葉にぎくりとした。…まさか忘れていたなんて言えず。明日は土曜日だから本来であるのならば業務は休みだ。

瑠璃さんたちも気を遣ってくれて、明日のご飯はいらないと言ってくれた。たまには休んでよと優しい言葉を掛けられたが、ここでご飯を作ったり皆の面倒を見るのは実は苦にはなっていなかった。

「豊さんが明日楽屋に遊びにおいでって」

「そっか。チケットくれたけど結局俺のせいで関係者席で見る事になっちゃったしね。
絶対普通の席の方がよく見えたのにね」

「いえ、でも一般人が関係者席に入れる事って滅多にないですから、私は逆に新鮮で嬉しいです。
普通に生きてたらきっと経験の出来ないような事だし」

チケットは一般席だった。けれどいくら何でも昴さんは目立ちすぎてしまうとの事で、関係者席で見れるように豊さんが気遣ってくれた。

「そういえば明日ご飯どこで食べる?何か行きたいお店とかある?」
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