【完】スキャンダル・ヒロイン
「真央ちゃーん、おはよう!お、顔色良さそうじゃん」
「本当ね。でも一応病院にはちゃんと行くのよ?」
瑠璃さんと山之内さんと豊さんも食堂に集まって、久しぶりに朝皆が一緒の時間に集まった。
皆に囲まれている真央は少し照れくさそうに文句を言いながらも、その顔は嬉しそう。
不器用で分かりずらくたって、何だかんだ言って人が好き。すぐ不機嫌になって子供っぽいのに独りにされるのは嫌い。
’どこか放っておけない人’誰しもにそう思わせる事は一種の才能だ。彼が周りから愛されるのはきっと持って生まれたものなのだ。
何か気になる存在。それって考えてみればすごい事だ。
「瑠璃さんもくっつくな!」
「もぉ~…照れちゃって~本当に可愛いんだから」
「俺を子供扱いするなッ」
真央が明るいと、周りまで明るくなっていく。それは不思議な光景だ。
けれど遠くから見ていても思わず笑ってしまう。
「本当に馬鹿ですね?」
隣にいた昴さんにそう声を掛けると、昴さんはどこか遠い目をしてその輪の中を見つめていた。大きくていつもキラキラとしている瞳を細めて、ほんのり切ない表情をする。
「昴さん?」
名前を呼ぶと、昴さんはハッとした顔をしてこちらを向いて直ぐに笑顔を取り繕った。
「何か、いーなぁって思って」
「いいなぁ?」
「真央っていいなぁって思っただけ。皆から愛されている感じがする」
「昴さんだって皆から愛されているでしょ」