【完】スキャンダル・ヒロイン
「でも真央は凛と立っている昴さんが羨ましいって言ってましたよ。
人ってそういうもんかも。誰かと自分を比べて、人は良く見えるし、自分は駄目に見える。
少しだけ安心しました。昴さんって欠点のない完璧な人だと思ってたから。完璧すぎる人ってある意味怖いじゃないですか。
人間らしい所もあって私は良いと思います」
それは少し偉そうか。何も成し遂げていない平凡な私が何を偉そうに、自分で言っていて恥ずかしくなってきた。
横にいる昴さんをちらりと見つめると、ふんふんと納得した感じで頷いていた。
「やっぱり俺、静綺ちゃんの事好きだわ」
唐突にそんな事を言うもんだから、この人も相当天然なのかもしれない…。
その顔で突然そんな言葉を言われたら、ときめかない女の子なんてこの世にはいない。分かっててやっているのなら相当質が悪いってもんだが、私へ向ける笑顔が余りにも天真爛漫なものだから…。
私、昴さんの欠点の見当たらない完璧な笑顔も素敵だとは思うけれど、顔をくしゃくしゃにして本当に嬉しそうに笑う顔はもっと好きだわ。
「俺は女の子には情けない自分を見せたくないってずっと思って生きて来たんだけど…静綺ちゃんが人間らしい俺でも良いって言ってくれるから」
「そ、それは私だけじゃなくって…世界中の女の子が思っている事です!」
「俺にもまだチャンスある?」
「ありません!」
ハッキリ告げた筈なのに昴さんはまた嬉しそうに笑って、皆の輪の中に吸い込まれるように入って行くもんだから困ったものだ。