【完】スキャンダル・ヒロイン

私だって清い人間じゃない。狡い所は沢山ある。昴さんのような素敵な人に好きだってストレートに言われたらぐらつかない訳ではない。

計算を何もしない訳ではない。

ってか…あんな素敵な人に好かれちゃったら人生の恋愛運…この夏で全部使い切っちゃってるんじゃないの?!

この先誰からも愛されずに一生を終えるなんて展開ももしかしてあるんじゃないの?!


私は元々モテるタイプではないんだ。りっちゃんの言う通り周囲から特別扱いをされてきた男の子たちに気に入られていた節はある。

けれど気に入られると好きになられるのはまた別の話だ。そう考えたらこのチャンスを逃したら…一生独り身。

夏だというのに冷たい風が吹いた気がして、ぶるりと体が震えた。

「ふっ」

「うわおッ!」

いつの間にか横に居た豊さんが不敵に笑う。

「変な顔しちゃってさー。真っ赤になったり突然真っ青になったり、本当に見てて面白いんだから。
静綺ちゃんって基本的に真央くんによく似てるよね」

「まさかッ……豊さんも私を…」

「まさか。年下に興味ないし」

でーすよーね。分かってます。分かってます。私だってそれ程馬鹿ではありません。

昴さんに好きだと言われて世界中の男の人はもしかして私を好きになる魔法でもかかってしまったのかとも思ったけれど、ありえない。

昴さんは趣味が悪いのだ。きっと目も悪い。目が大きい人って目が悪くなりやすいって言うじゃん?きっとそれだ。
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