【完】スキャンダル・ヒロイン
けらけらと笑う真央の無邪気な笑顔が夕暮れに染まって行って、何度も再確認するんだ。
こんな何気ない時間が、一緒にいれる事を、どうしたって愛しくて仕方がない。
テレビに出ている彼は誰もが知るスーパースターで、けれど、寮に居る時のプライベートな彼は私だけが知っている子供っぽくて少し可愛い人で
けれど夏が終わるという事は、彼の様々な表情をもう近くで見れなくなるという事だ。
「そーいやー来週プールに行くんだろ?」
「行くんだろ?ってあんたも行くんでしょう?わざわざオフにしてもらったって坂上さんから聞いたけれど?」
「何だよッまるで俺が楽しみにしていてわざわざオフを取ったような言い方すんなッ
ガキの遊びに付き合ってやるっていってんだよッ」
どこまでも素直ではない所は変りはしない。
瑠璃さんが言い出したのだ。夏らしい事をしたいって。けれど昴さんと真央はドラマの撮影で忙しくって、結局9月になってしまった。
そもそもこの面子で海やらプールに行ったら目立つことは間違いないのだから、昴さんがロケで使った事があるというプライベートのプールを貸し切りにしてくれたのだ。
する事がやはり芸能人である。…まあグリュッグの顔であるふたりの俳優が海やプールに居たらそれこそ大騒ぎになる事間違いなしである。
「それにしてもプール貸し切りとかすっご。昴さんってすごい人だよねぇ」
「フンッ。芸能人ぶって嫌な奴だよな」
いや、あんたも相当…。
ジトーっと見つめると「何だよッ」と大きな声を上げた。