【完】スキャンダル・ヒロイン
「俺山之内さんに言ってやるよ。そんなどこかも分からん企業に就職して馬車馬のように働かされるより、グリュッグエンターテイメントの給料はいいぞ~?」
「無理だし。私が芸能人をマネージメント出来るとは思えないし
あんたみたいに我儘なタレントが沢山いると思っただけでゾッとしちゃうわ。
それに坂上さん達を見ていたら時間も不規則だし、芸能事務所って絶対ブラックだもん…」
「別にマネになれなんて言ってねぇよ。別に俺のマネージャーならいいけど」
「あんたのマネージャーなんて絶対に嫌ッ!私の心がやられる!」
「俺の心は安定しそうだけどな」
それってどういう意味よ。
「それにマネージャーだけが仕事じゃないかもよ。
寮で芸能人の栄養管理の仕事でもしてればいいじゃん。お前の得意分野だし」
「こんな少人数のタレントしかいない寮に私を置くって…需要ないでしょう。
短期間のアルバイトだからいいものを」
「だーからーそれは俺の権力を使ってだな!」
「権力はもっと意味のある事に使ってください。本当にあんたは馬鹿なんだから…」
ぷっとスイカの種を飛ばすと、真央はまた笑いながら怒った。
夏の夕暮れを見つめながら、真剣な顔に切り変わってその掠れた声が響く。
「冬の連ドラの主演が決まった…」
それは思いがけない進展。
「そうなの?!」
「しかも俺と昴のダブル主演だ」
「何それ、絶対見るッ!」
「どーせお前は昴目当てだろう…」
「まさかー!ふたりとも楽しみだよ!私毎回録画するよ!
えーすっごく楽しみなんだけどー……」