【完】スキャンダル・ヒロイン
りっちゃん…言ってる事が違う…!ずっと昔からふたりの恋を応援しているだとッ?!さっきと言っている事が違うじゃないか。
昴さんがその場から去った後、私の胸の中でりっちゃんは「キャーキャー」騒いでいた。 そんなにファンだっけ…?!
「やばい…あの笑顔の破壊力はヤバい。
テレビで見るより何百倍もかっこいいじゃんかよ。
静綺ずるい~」
「まあ……」
すっかり見慣れた顔だとは思うけど、私だって初めて会った時は同じ人間とは思えなかった。こんなに美しい人がこの世にいるのかと。それは真央にも感じた事だけど。
「静綺ちゃんの友達なんだって~?きゃー女子大生~若い~可愛い。
ねっ?豊!」
「まあね、そりゃ瑠璃さんよりかは若いに決まってるし」
「殴るよ?」
けれど瑠璃さんや豊さんだって一般人から見ればよっぽど芸能人臭い。
やっぱり芸能界という特殊な世界に生きていたら、オーラつーのは自然と身に着くものなのだろう。
りっちゃんは目を輝かせて、ふたりに’握手してください!’と全く人見知りする素振りすら見せなかった。
まぁりっちゃんはこういった感じで昔から誰に対しても友好的と言うか、私とは正反対の性格をしていた。背も小さくて人懐っこくて特別美人という訳はないけれど、女の私からしてみれば可愛らしい。
「ふたりともテレビで見た事あるしー!」
「りっちゃんさすがだね…。昔っからテレビっ子だもんね…」