【完】スキャンダル・ヒロイン

「こんにちは。静綺の友達?」

「こ、こ、こんにちは。星月律と申します。静綺とは幼馴染で大学も一緒なんです。ほ、本日はお呼び頂きありがたく思っております」

だから日本語変だって。かちこちに緊張しきったりっちゃんは、顔を真っ赤にさせてさっき昴さんに見せたのと同じ反応を見せる。

今にもりっちゃんが倒れてしまわないか不安だ。支えるように肩を持つと、目の前の真央は決して私の前では見せないような極上のスマイルをりっちゃんへと送った。

「アハハッ。今日は楽しんでいってね」

「へぇ~静綺ちゃんの大学の友達なんだぁ~。
こんにちは~!南条岬ですぅ~。真央の彼女ですぅ~」

「お前は嘘つくなっつの!つーか腕あっちぃ!離せよッ。
つーか何でお前もいるんだよ!」

岬さんの腕を振り払い車の方へ向かうと、彼女は唇を尖らせたまま彼の後を小走りでついていった。

…やっぱり岬さんが彼女なのか。きっとドラマで共演して再び再会して寄りを戻したんだろう。

あーあ…落ち込む…。今日は楽しく過ごすつもりだったのに、岬さんが居るって知って一気に帰りたくなってしまった。

「お似合い…」

恍惚とした表情でりっちゃんが言うもんだから、余計落ち込んでしまう。
私から見ただけじゃなくて誰からも見て、客観的にお似合いすぎるんだもん。

「だよね……」

分かりやすく落ち込む私を見て、焦ったりっちゃんは慰めるように私の背中を数回叩いた。
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