【完】スキャンダル・ヒロイン

「で、でも彼女じゃないって真央さんは否定してたじゃん」

「どうだか……寄りが戻っていたって不思議じゃないよ。真央好きな人いるって言ってたもん」

「そ、それはッ
てゆーか真央さんって静綺に聞いていたような人と全然違うじゃんかー!
すっごく愛想も良いし、優しそう!それにかっこよすぎる~!」

「しおり達の前でも愛想だけは良かったもん。あれは作ってるの~!!私の前じゃすっごく意地悪だし子供なんだから!この間だってスイカの種を顔にかけてきたの~!」

普段の真央の真実の姿を力説すると、りっちゃんはニヤリと笑った。

「それって何か特別みたい。
静綺だけに見せる顔なんじゃないの?」

「そんな事ないと思うよ…」

「またまたぁーいいなぁ。特別って」

「だからりっちゃん誤解してる!」

今日は東京から少し離れた場所で、昴さんがプールを貸し切りにしてくれたらしい。
バーベキューも出来るように用意してくれているらしく、正に至れり尽くせり。

楽しみにしていた。このバイトが終わる前に寮の皆で出掛けられるっていうのが嬉しすぎて。岬さんまで居るなんて想定外だったけれど。

2台並んだ車の前で、真央が大声で私の名前を呼んだ。

「おい、静綺。乗らないのか?」

そのすぐ後に助手席から岬さんが顔を覗かせる。
直ぐにふいっと顔を背けて、りっちゃんの腕を引っ張った。

「いいです。昴さんの方の車に乗るので!」

そう言って、昴さんの車の後部座席にりっちゃんを押し込めるかの如く乗せた。
まだ誰もいない車中で、りっちゃんは呆れた顔をして私を見つめる。
< 291 / 347 >

この作品をシェア

pagetop