【完】スキャンダル・ヒロイン

「せっかく姫岡さんが誘ってくれたのに…。静綺もその素直じゃない性格少しは直した方がいいよ?
意地ばっかりはってたら恋の神様だって呆れてチャンスを逃しちゃうんだよ?」

「分かってる。分かってるけど…」

りっちゃんに言われなくっても、痛い程自分の性格は知り尽くしている。
嬉しかったのに。けれど同じ車内に岬さんがいるのは耐えきれる自信がないんだよ。
仲良さそうなふたりを直視出来る自信がない。なんてへたれで根性無しなんだろう。

結局昴さんの車に私とりっちゃんが乗って、真央の車に岬さんと瑠璃さんと豊さんが乗った。
真央の車で岬さんと真央がふたりきりにならない事に少しホッとしていた。

昴さんは全然売れっ子芸能人らしくなく、りっちゃんとも普通に会話をしてくれて緊張しているりっちゃんをリードしてくれた。

私の幼馴染と言う事で車内では私の昔話ばかり。昴さんはその話を笑いながら聞いてくれて、その性格の良さにはりっちゃんも感心する程だった。

けれどふたりの話の輪に入りながらも、後ろからついてくる車の事ばかり気にしている自分が居た。

―――――

東京から離れ少し田舎に入った小さな建物は洋館のような素敵な造りで、大きなプールがついており何とこの日の為に昴さんはバーベキューを用意してくれる職人さんまで呼んでいた。

ここも元々撮影などで使われるスタジオとして使われる場所であり、豪華で素敵な場所だった。

きっとこの先来る事は無いだろう。芸能人パワーってやっぱりすごい…。こんな場所を借り切ってしまうんだから。

でも考えてみれば今話題のナイトプールなんかは昴さんや真央たち芸能人は行きたくても中々行けないだろう。そう考えるとやっぱり芸能人って大変だ。
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