【完】スキャンダル・ヒロイン
「ごめん…ごめん…静綺…」
だから何がごめんなの?謝って何かが解決すると言うのなら、私の好きな人を今すぐ返してください。
こんな事を思う私はやはりヒールなのだろう。このどうしようもない状態でいくら強がってみても、悔しくて悔しくて仕方がない。
けれど今自分の思っている事を全部口に出してしまえば、傲慢で我儘な身勝手な女に成り下がってしまう。拳をグッと握りしめて大げさに笑顔を作る。
「私の事なら気にしないで。
たっくん待ってるんでしょ?行きな!」
そう背中を押したら、しおりはまだ泣いているままだったけれどその場から立ち上がった。
何度かこちらを気にして見ていたけれど、カフェから出ると直ぐに横付けされた車に乗り込んだ。
その時やっと安心して…安心したのと同時に涙が溢れだした。
「う……ぐっ……うぅ…ぎゃー」
人目もはばからずその場で子供のように大声を出して泣き出すと、周りにいたお客さんや店員から一斉に視線が注がれる。
そしてしおりとすれ違いでカフェに入って来たひとりの女が、さっきまで彼女が腰をかけていた椅子に座ると大きなため息を吐いた。
「ぎゃーーーー…りっちゃぁーーーん!!!」
「ちょ、静綺!お願いだから泣かないでって!」
「うわぁーーーん。もう無理ー。生きていけないー。恥ずかしいー。死ぬー」
「ちょちょ、落ち着いてってば…!頑張った。静綺は頑張った!立派だった…。
だからそんなに泣かないで…。あたしはちゃんと分かってるから!静綺が本当はそこまで気が強くない事も、勘違いされやすいけれど繊細だって事も!」
「うわぁぁあああああああん」
だから何がごめんなの?謝って何かが解決すると言うのなら、私の好きな人を今すぐ返してください。
こんな事を思う私はやはりヒールなのだろう。このどうしようもない状態でいくら強がってみても、悔しくて悔しくて仕方がない。
けれど今自分の思っている事を全部口に出してしまえば、傲慢で我儘な身勝手な女に成り下がってしまう。拳をグッと握りしめて大げさに笑顔を作る。
「私の事なら気にしないで。
たっくん待ってるんでしょ?行きな!」
そう背中を押したら、しおりはまだ泣いているままだったけれどその場から立ち上がった。
何度かこちらを気にして見ていたけれど、カフェから出ると直ぐに横付けされた車に乗り込んだ。
その時やっと安心して…安心したのと同時に涙が溢れだした。
「う……ぐっ……うぅ…ぎゃー」
人目もはばからずその場で子供のように大声を出して泣き出すと、周りにいたお客さんや店員から一斉に視線が注がれる。
そしてしおりとすれ違いでカフェに入って来たひとりの女が、さっきまで彼女が腰をかけていた椅子に座ると大きなため息を吐いた。
「ぎゃーーーー…りっちゃぁーーーん!!!」
「ちょ、静綺!お願いだから泣かないでって!」
「うわぁーーーん。もう無理ー。生きていけないー。恥ずかしいー。死ぬー」
「ちょちょ、落ち着いてってば…!頑張った。静綺は頑張った!立派だった…。
だからそんなに泣かないで…。あたしはちゃんと分かってるから!静綺が本当はそこまで気が強くない事も、勘違いされやすいけれど繊細だって事も!」
「うわぁぁあああああああん」