【完】スキャンダル・ヒロイン

一言多い。いや、一言じゃない。二言三言多い。黙っていればイケメンなのに。
ベッと舌を出して意地悪な眼差しをこちらへ向けて、皆の方へ行ってしまった。

姫岡真央はテレビや雑誌で見るように物腰が柔らかくてニコニコしている人間ではない。

けれど思っていたよりも嫌な奴ではないし、人を思いやる気持ちは…僅かながらあるようだ…。

私もどちらかと言えば器用な人間ではないし、見た目や雰囲気だけで人から怖がられる事もあるから…ちょっとだけこの人の気持ちも分かるような気がする。

世の中を上手に生きれる人間もいれば、下手にしか生きれない人間もいる。

「ふあー…!」

皿洗いを終えてお風呂に入って今日の仕事は終わり。
4階の部屋に戻ってベッドにダイブする。

ゴロゴロと転がりながら、携帯をチェックすると数件のライン。
りっちゃんから着ていたラインを返信すると、直ぐに電話が掛かってきた。

「お疲れ~」

「お疲れ。つか反応早ッ!」

「今丁度携帯でゲームしてんだもん~。ね、ね、それよりどう?芸能事務所の寮ってどんな感じ?」

りっちゃんはミーハーだ。流行りの物が大好きで、話題のドラマや映画も常にチェックしていて芸能界の事も詳しい。

今更ながら全く芸能界に興味のない私と仲良くしているのが不思議だ。

けれども小学校の頃からの幼馴染で、何より私を理解してくれていつだって味方でいてくれる心優しき親友だ。

「別に普通だよ。思ってたより皆一般人に近い」

「えーぇーそうなの?!やっぱ可愛い子とかイケメンばかりじゃないの?!」

「寮とは言っても所属タレント3人しか見てないし……。
でも皆可愛いしかっこいいと思う…。」
< 56 / 347 >

この作品をシェア

pagetop